1960年代

『ブライアン・デ・パルマ』円環と錯視の王、ほぼ全作品レビュー

今年はドキュメンタリー映画『デ・パルマ』(ノア・バームバックとジェイク・パルトローの共同監督)が公開されると言うこともありデ・パルマ作品を色々と見直していたのですがどれも面白いですね。一般的には当たりハズレが大きいと言われているデ・パルマ…

『花吹雪舞う!春の鈴木清順幻の作品祭り』 ~ 具流八郎との空白の10年:怒濤編

前回のあらすじ 1968年のいわゆる「鈴木清順解雇・封鎖事件」は学生運動のデモも巻き込んで「鈴木清順問題共闘会議」を結成し、多くの映画人を巻き込んだ日本映画界を揺るがす一大騒動と化していました。 一方具流八郎は共闘会議とは距離を置き(*1)、大島…

『花吹雪舞う!春の鈴木清順幻の作品祭り』 ~ 具流八郎との空白の10年:疾風編

いつかその日が来るだろうとは思ってはいても実際にその日が来てしまうとやはり結構ショックだったりする清順さんの訃報(2017年2月22日)。本来であればしめやかに追悼すべきなのですが、既に発表の時点で9日もタイミングを逸している始末(同年2月13日満93…

現実化する『ミクロの決死圏』のナノマシーン医療 〜 <今そこにある未来ニュース③>

過去の予言的なSF作品を現実のニュースと絡めて未来を妄想する与太話の不定期連載企画<今そこにある未来ニュース>の第三弾です。今回はかなり現実化されているネタなので妄想分少なめです。ちなみに過去の二回は以下の記事となります。 callmesnake1997.ha…

『古都憂愁 姉いもうと』/ 『なみだ川』 (1967年)~ 三隅研次の女性映画③(藤村志保編)

『古都憂愁 姉いもうと(1967年)』 キャストは藤村志保と新人の若柳菊(現:鹿内寛子)の姉妹で京都の料亭を舞台に色々入り組んだ人間関係が最後には修復する話です。八千草薫、船越英二、藤岡琢也の助演陣もキャラの立った素晴らしい演技です(若柳菊に関…

『雪の喪章(1967年)』 ~ 三隅研次の女性映画②(若尾文子編)

『雪の喪章(1967年)』 傑作『眠狂四郎無頼剣 (1966年)』の次に撮られた作品で、同じ年に『古都憂愁 姉いもうと』と『なみだ川』が撮られておりますので三隅研次の女性映画メロドラマ三部作の第一弾とでもいうべき作品でございます。 原作は金沢出身の女…

『女系家族(1963年)』 ~ 三隅研次の女性映画①(京マチ子編)

男性向け時代劇や活劇を主なジャンルとして活躍し、広くは海外のジョン・カーペンターやサム・ライミやクエンティン・タランティーノにまで影響を与えた(*1)三隅研次ですが、大映プログラム・ピクチャーの職人監督として、市川雷蔵の『眠狂四郎』や勝新太…

『キングコング対ゴジラ(1962年)』 ~ チェレンコフ放射の青い光(4K リマスター)

チェレンコフ放射 - Wikipedia チェレンコフ放射(チェレンコフほうしゃ、Čerenkov radiation、Cherenkov radiation)とは、荷電粒子が物質中を運動する時、荷電粒子の速度がその物質中の光速度よりも速い場合に光が出る現象。チェレンコフ効果ともいう。こ…

『旋風の中に馬を進めろ(1966年)』 〜モンテ・ヘルマンによる一卵性双生西部劇二本立て③:旋風編

『旋風の中に馬を進めろ』 ~ 切り株を刻む音が止んだ時 砂漠を舞台に絶えず移動を続ける追跡劇が繰り広げられる『銃撃』とは対称的に『旋風の中に馬を進めろ』の舞台は山間部に限定されます。 背中越しに駅馬車の襲撃のタイミングを伺う山頂からの俯瞰気味…

『銃撃(1966年)』 〜 モンテ・ヘルマンによる一卵性双生西部劇二本立て②:銃撃編

『銃撃』 ~ 条理ある行動の彼方に 一般的には不条理で難解な「反=西部劇」と見做されることが多いこの映画ですが、ヘルマン本人も否定しているようにもちろんそれは誤解であります。 まず登場人物達の行動の動機は映画の冒頭部分にセリフ等で示されますし、…

『銃撃』/『旋風の中に馬を進めろ』(1966年) 〜 モンテ・ヘルマンによる一卵性双生西部劇二本立て①:生誕編

1964年のクリスマスプレゼント 1964年の12月24日、若き駆けだしの演出家とこれまた若き駆けだしの俳優兼脚本家が、その俳優自身にインスパイアされた出来事を元に『エピタフ(墓碑銘)』というタイトルの映画を作ろうと構想を練っています(ハリウッド映…