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2016年映画ベスト10、或いは ”私はあなたの作品が大好きです”ということ

映画 アメリカ映画 日本映画 2010年代

年末ですので2016年映画ベスト10をやっておきます。新作は見てない方が圧倒的に多いのですが、今年見れた数少ない新作映画の中から自分の好きなおすすめの映画を10本(または15本)選んでお伝えします。

では洋邦合わせて1位から。


1位:『ハドソン川の奇跡』(Sully,2016年)

劇場公開日: 2016年9月24日

監督:クリント・イーストウッド

あまりにも明快かつ複雑という二律背反さゆえに3回も劇場に足を運んでしまった本作。単純な音と映像の連なりが生みだす世界を人は単純に映画と呼びますが、果たしてこれはそんな単純なモノなのでしょうか。おそらくこれを見た90%以上の人がこの映画がニュースの裏に隠された感動の実話物だなどと思って感動しているようですが、そんな目に見えず耳に聞こえもしない感傷に騙されてはいけません。そんな事を言ってる人達はハナっから映画なんて見ても聞いてもいないのです。この映画の表面に幾層にもまとわりつく受動的なアクションの凶暴さは一体何なのか。何度でも目と耳を凝らして見て、聞いてみる必要があります。イーストウッドは今だアメリカ映画の先頭を走っているトップランナーなのです。

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(※以下同率2位公開順で)

2位:『ブリッジ・オブ・スパイ 』(Bridge of Spies , 2015年)

劇場公開日: 2016年1月8日

または『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(The BFG ,2016年)

劇場公開日 :2016年9月17日

監督:スティーブン・スピルバーグ

毎年一本は封切られないと物足りないスピ映画ですが今年は二本も公開されて僕的には嬉しい限りです。興行的にはスピのネームバリューでさえもヒットできなくなったとか陰口を叩かれていましたが、そんなこたぁどーでもよいのです。あらゆる犠牲を払っても人を助ける映画と仲間を犠牲にしても自分だけは生き残る巨人の映画、どちらもまぎれもないアスぺなスピ映画ではないですか。興行でしか映画を評価できない人は一生『◯◯◯◯』(←好きなタイトルをどうぞ)でも見ていれば良いのです。

しかしここにもトム・ハンクスですか。ハリウッドにはトム・ハンクスしか役者はいないんでしょうか(いや、好きなんで別に問題ないのですが)。

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2位:『ザ・ウォーク』 (The Walk ,2015年)

劇場公開日: 2016年1月16日

監督:ロバート・ゼメキス

これは3Dで見るべき映画だったのですが、当方の3D嫌い(暗くて色味が変わって見辛いくせに値段が高い)のため通常版で見てしまいかなり後悔。でも映画自体は2Dで見ても十分素晴らしい出来でした。

見る前は綱渡りなんて題材が映画になるの?と疑問に思っていたのですがさすがゼメキスです。綱渡りだけで本当にちゃんと映画になっていました。この映画では一時期のモーションキャプチャーアニメの時代を経て、デジタルでの新しい空間の映像表現を獲得しています。

https://pbs.twimg.com/media/CUO7WlxUkAEFH3-.jpg

 


2位:『オデッセイ』(The Martian,2015年)

劇場公開日 :2016年2月5日

監督:リドリー・スコット

ABBAドナ・サマーのような1970年代のディスコミュージックとデビッド・ボウイの「スター・マン」が火星で流れる懐メロサバイバルSF映画です。懐メロSFというと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年)』の方が先ですが、こちらはスペオペではなくリアル路線です。

この作品は(人が言うほど悪くないというか僕的には傑作といっても全く差支えない)前作の『エクソダス:神と王(2014年)』に比べるとリドスコ成分薄めで若干物足りなくはあるのですがその分作品に奉仕する職人監督としての技能を存分に堪能できる映画になっています。次々に繰り出される大量の複雑なショットの魅力的なこと。来年の『Alien: Covenant』も非常に愉しみです(9月公開予定だとだいぶ先ですね。リドスコ禁断症状がでそうですが、ジャガイモでも食べながらなんとか持ちこたえましょう)。

 

(↓野菜コーナーでも評判の映画です) 

http://s.eximg.jp/exnews/feed/Gizmodo/Gizmodo_201602_themartianpotatoes_2.jpg

www.gizmodo.jp

(↓このネタも今年で最後ですね~。おめでとう。刑事ぷりお)

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTaz-QplBGgvyBCxUMXPTsY2iRKUd35EH_FyZVxibQTQRr2bL3O

(なんか他にもいろいろあった)

http://nerdapproved.com/wp-content/uploads/2016/03/deadpool-martian.jpghttp://scontent.cdninstagram.com/t51.2885-15/s480x480/e35/11925726_1023532007679227_1269552909_n.jpg?ig_cache_key=MTA3MTUzMjQ5OTg3NDQ1Mjk0NA%3D%3D.2 http://www.cultjer.com/img/ug_photo/2016_02/84248420160226165622.jpg https://pbs.twimg.com/media/CTK1QtSWUAARqoD.jpg http://i.huffpost.com/gen/3505880/thumbs/o-THE-MARTIAN-POSTER-FLYER-TRAILER-570.jpg?7


2位:『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years 』(The Beatles: Eight Days a Week ,2016年)

劇場公開日: 2016年9月22日

または『白鯨との闘い 』(In the Heart of the Sea ,2015年)

劇場公開日: 2016年1月16日

または『インフェルノ』( Inferno ,2016年)

劇場公開日: 2016年10月28日

監督:ロン・ハワード

 2016年はロン・ハワードの年として記憶されるべきかもしれません。働き物の職人監督さんですね。三本ともほとんど見たことさえも既に忘れてしまうような存在の希薄さですが、それもまた職人監督の魅力ゆえです(←褒めてます)。

しかしここにもまたトム・ハンクスですよ!。なんで君は僕の今年見た数少ない新作映画の主役ばかりやっているのだ。ハリウッドにはトム・ハンクスしか役者はいないんでしょうか(いや、こっちはシリーズ物だから当然か)。

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2位:『ダゲレオタイプの女』(La Femme de la plaque argentique,2016年)

劇場公開日: 2016年10月15日

または『クリーピー 偽りの隣人』(2016年)

劇場公開日 :2016年6月18日

監督:黒沢清

2016年は黒沢映画が二本も劇場で公開されるというこの上なく幸運な年でした。どちらも 映画としての面白さのみで構成された映画のための映画です。上記アメリカ映画群に唯一対抗できる日本映画とも言えます。というかこの中では一番クラッシックで古典的なハリウッド映画的とも言える映画ではないでしょうか。洋邦含めてこの映画(両方)ほど画面の暗さや影を照明コントロールされた映画を他に知りません。

https://i.ytimg.com/vi/by66wRvBzp0/maxresdefault.jpg


7位:『シン・ゴジラ』(2016)

劇場公開日 2016年7月29日

監督:庵野秀明

または『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(Rogue One: A Star Wars Story,2016)

劇場公開日: 2016年12月16日

監督:ギャレス・エドワーズ 

この二本は単なる懐古趣味を超えて1919年/1954年/1967年/1977年/1980年等々の映画史上の不連続時空が相互干渉して繋がった結節点として現在に現れた自己の映画的欲望に忠実な素晴らしい”個人”映画です。

そしてこの国境も世代も嗜好も異なるであろう二人の監督が同じ名前の主人公(怪獣ですが)の映画を監督し、1988年の某有名アニメ映画を2016年のこの二本の映画に忍ばせていることは単なる偶然とは思えません。これもまた知らず知らずの内に映画史上の不連続時空が相互干渉して現在に繋がってしまった結果なのでしょう。

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8位:『キャロル』(Carol ,2015年)

劇場公開日: 2016年2月11日

監督:トッド・ヘインズ

この映画を一言で説明するとダグラス・サーク流のメロドラマです。

以上説明終わり。

メロドラマは苦手なのですがケイト・ブランシェットルーニー・マーラの二人の女優の美しさに見とれてしまい、この映画が16ミリで撮られたという事実を言われるまで気づかなかったという自分のマヌケさに自戒の念も込めてここに入れておきます。でもこれはそういう見とれてしまう”女優”映画なんですよね 

http://www.impawards.com/2015/posters/carol_ver7.jpg


9位:『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』(Everybody Wants Some!!,2016年)

劇場公開日: 2016年11月5日

監督:リチャード・リンクレイター

12年かけて撮った6才の次は大学入学前のたった3日間を大学野球部の寮を舞台にしてバカ騒ぎを繰り広げる青春群像劇です(しかしこの振れ幅、この監督の時間間隔というか感覚は一体どうなってるんでしょうね)。

これは面白い会話と面白い人間が出てくるコメディ映画なのですが、実はこれが用意周到に準備され、何度もリハーサルされ完全に演出によってコントロールされた映画であったとしたら...それはまるで『セッション』あるいは『ドント・ブリーズ』みたいなアクション・ホラーのように恐ろしくサスペンスフルな映画に見えないでしょうか?

見えない?

そうですね。これは普通に面白い会話と面白い人間が出てくる人生のある一瞬を捉えた恐ろしく細かい演出と脚本の普通に面白い青春コメディ映画です。

http://top.tsite.jp/static/top/sys/contents_image/031/965/495/31965495_72374.jpg


10位:エクス・マキナ(Ex Machina,2015年)

劇場公開日: 2016年6月11日

監督:アレックス・ガーランド

この映画はサスペンスやホラーとしての面白さは特にないのですが、シンギュラリティとは何かという事を一番分かり易い形で映画で示した最初のSF映画として面白かったのでここに入れておきます。

でももうこのパターンは映画では使えないでしょうから、今後はシンギュラリティ後の世界を描かないとSF映画としては二番煎じになってしまうのでしょうね。最初にやったもん勝ちのコロンブスの卵的映画です。

あとは透け透け過ぎにも程があるロボ子(エヴァ)の斬新でユニークなデザインが素晴らしいです。自分的にはこの映画の魅力はそこに尽きます。

http://geekandsundry.com/wp-content/uploads/2015/05/Ex-Machina-Download-Wallpapers.jpg


【総評】

2016年は公開時期のずれもあってかアメリカ映画を代表するベテラン監督の作品をまとめてみられるという大豊作な年となりました。中でも1位に入れたイーストウッドダントツの出来。2位には他のベテラン監督の良質な作品がそろったため同列にて。あとは中堅、若手からそれぞれ良作品を選びました。しかし選んだのはおおよそ王道路線なものばかりで全部足すと10本超えてるし、順位もデタラメですし、我ながらかなりテキトーなベスト10ですねー。申し訳ないというかあしからずです。

 

 【その他:今週のお題「私のブログ・ネット大賞2016」】

その他2016年の出来事として一番衝撃的だったのは大好きなジャック・リヴェットが亡くなった事です(Jacques Rivette, 1928年3月1日 - 2016年1月29日)。

大好きだとはいっても自分は追悼できるほど彼の作品をみていたのだろうかと思って『セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年)』を見直したのですが、そのあまりの面白さとほとんど内容を忘れていたことに驚愕し、そのショックを忘れまいと備忘録的に書き始めたのが本ブログを始めたきっかけです(結局追悼どころかデクパージュ的な事しか書けませんでしたが)。

callmesnake1997.hatenablog.com 

以来そのまま細々と続けているのですが、好きな作品や作家を文章にして伝えるのは難しいですね。いくらいろいろ長々と文章を重ねても結局言いたいことは”私はあなたの作品が大好きです”という小学生でも書けるようなたった一言だけだったりしますからね。

まぁ、個人ブログなのでそれでもいいのかと思ったりもしますが、何かの縁あってこのブログを読んでいただいた方にここで取り上げた作品の魅力がほんの1ミリでも何か伝われば当方としては望外の喜びです。

それではみなさん良いお年を~。


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