2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『マウス・オブ・マッドネス(1994年) 』 ~ジョン・カーペンターが奏でる戦慄の旋律と恐怖の黙示録③(フィルム・ノワール編)~

「黙示録三部作」の三作目と言われている『マウス・オブ・マッドネス(1994) 』について書きます。ホークスの西部劇三部作同様、パラダイムと同じ話を換骨奪胎した物語とも言えます。 閉鎖された教会の地下室は閉鎖されたホラー作家の描く街に、 闇のプリンス様…

『パラダイム(1987年) 』 ~ジョン・カーペンターが奏でる戦慄の旋律と恐怖の黙示録② (量子力学編)~

「黙示録三部作」の二作目と言われている『パラダイム(1987) 』について書きます。ホークスの西部劇三部作同様、物体Xと同じ話を換骨奪胎した物語とも言えます。 閉鎖された南極の空間は閉鎖された教会の地下室に、 宇宙人は闇のプリンス様である悪魔に(こ…

『遊星からの物体X(1982年) 』 ~ジョン・カーペンターが奏でる戦慄の旋律と恐怖の黙示録① (ハワード・ホークス編)~

1982年のターニングポイント どうみてもコメディなのにたいして笑えないタランティーノの『ヘイトフル・エイト(2015)』の話はどうでもいいとして、その元ネタであるジョン・カーペンター(以下ジョンカペと記す)監督の傑作『遊星からの物体X(1982)』に…

『モーゼとアロン(1975年) 』~ストローブ=ユイレによるシンクロ率100%の過激な歌劇~

過激な音楽映画というと皆さんはどのような映画を思い浮かべるでしょうか。 アレックス・コックスの『レポマン(1984)』や『シド・アンド・ナンシー(1986)』のようなパンクな映画、アラン・パーカーの『ピンクフロイド ザ・ウォール(1982)』のようなMTVっぽい…

『大野雄二 』~あるいはジャズ・フュージョン界のモーツァルト ~

大野雄二さんの仕事で驚かされるのはその音楽自体の素晴らしさもさることながらその仕事量の多さです。 特に70年代後半から80年前半にかけての映画、テレビ、歌謡曲、CMと多岐にわたる活躍はその全貌を誰も把握することが不可能だと思えるほど膨大です(果た…

『ルパン三世 TV第2シリーズ (1977-80年)』~「宮田雪」脚本の自然な展開の普通な面白さ~

とにかく話が奇想天外で荒唐無稽でナンセンスなルパン三世TV第2シリーズですが、中でも山崎忠昭、大和屋竺、宮田雪、浦沢義雄といった日活映画や鈴木清順に関連していた脚本家の作品は今みても予想の斜め上をいく面白さがあります。いかにモンキー・パンチ先…

『悲愁物語(1977年)』~「三協映画」魔のトライアングルより生まれし鈴木清順の色彩遷移アクション~

1.『三協映画』~ 魔のトライアングル 三協映画とは何か。それは三つの異なる世界が交差する魔のトライアングルです。 まず一つ目は梶原一騎に代表される漫画・劇画の世界です。 『巨人の星』や『あしたのジョー』に代表されるスポ根漫画の原作者として知…

『セリーヌとジュリーは舟でゆく (1974年)』 ~【完全解説】早すぎたジャック・リヴェットのRPG映画~

前世紀においては『呪われた作家』とも称されていたジャッ ク・リヴェットでありますが、 21世紀の今日においてこそ、その先進性と孤高の独創性が評価されるべき早すぎた『来るべき作家』と称される存在でしょう。 例えば1974年に製作された『セリーヌとジュ…

シネマテーク備忘装置

ー 前口上 ー なぜ人は映画のすべてを記憶することができないのか。 いくらスクリーンを凝視していても、見ているそばから網膜に映る映像は過去へと消え去ってしまう。 そもそも果たして自分は本当に映画を見ていたといえるのか?。 (本当に寝ている時もあ…