2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『生きる(1952年)』/『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK(2016年)』~ バットとハッピー・バースデーと暗渠と

今月は黒澤明の『生きる』とロン・ハワードの『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』/シェアスタジアムライブが4Kリマスターで劇場に掛かってますね。大画面で若き天才達の才能の一端を堪能できる素晴らしい機会です。 この20世紀を代…

『天国の門(1980年)』 ~ アメリカ映画はいつから衰退しはじめたのか?/巨匠マイケル・チミノ、その少な過ぎるフィルモグラフィー

アメリカ映画はいつから衰退しはじめたのか? 昨今劇場にかかっているアメリカ映画の超大作の大半があまりに安全すぎて退屈だという現実的な問題の根本原因が一体どこにあるのかと遡って考えてみますと、そこには1980年の『天国の門』という一人の完全主義者…

『地獄の黙示録 劇場公開版(1979年/2001年リマスター)』 ~ 直線・円環・回想構造で蛇行しながら源流に遡行する映画のオデュッセイア

この映画が紛れもなく映画史に残る傑作であることに異論は無いのですが、とにかく映画とは無縁な地点から人を雄弁にしてしまうような物議を醸す引き出しが多く、かつ映画自体としてもバージョン違いが多く複数の解釈が可能であるというのが『地獄の黙示録』…

クリント・イーストウッド映画の傾向と対策【拘束・パイロット編】 ~ 『ハドソン川の奇跡(2016年)』

2016年は現在アメリカ映画界最高峰の演出力を誇る映画作家の一人、クリント・イーストウッドの新作が公開されるという幸運な年です。1930年生まれの86歳というのですからアメリカ映画界最高齢かつ最強の映画監督ともいえます。子供の頃から見ていたイースト…

スティーブン・スピルバーグ映画の傾向と対策【巨大生物・物体編】〜 『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(2016年)』

2016年は現在アメリカ映画界最高峰の演出力を誇る映画作家の一人、スティーブン・スピルバーグ(以下スピと称す)の新作が二本も公開されるという幸運な年です。スピと同時代に活躍したジョン・カーペンター(以下ジョンカペと称す)が早すぎる隠居状態を強…

ローラン・トポール ~ 『ファンタスティック・プラネット』だけじゃないその多彩で多才な超ブラック・ユーモア作品世界

僕にとってローラン・トポール(Roland Topor:1938-1997)というと『ファンタスティック・プラネット』の作画の人というぐらいの認識しかなかったのですが、ググってみると小説家(*1)、イラスト・風刺画家/アニメーション作家(*2)、前衛演劇家(*3)、…