特にイスラエルの映画に関して興味があるという訳ではないのですが(というか完全に未知の世界でありますが)、アリ・フォルマン以上にドキュメンタリーとフィクションを行き来し、中東と欧州を股にかけて精力的に活躍しているイスラエルの鬼才、アモス・ギ…
「あぁ、世の中にはこんな映画が存在するんだ」と新しい映画言語に出会った際に衝撃を与えてくれる作品が稀に存在しますが、イスラエルのアリ・フォルマン監督による『戦場でワルツを(2008年)』という映画はまさにそういう作品でした。自身のレバノン内戦…
世界で一番絵が上手く、かつ世界的に影響を与えた天才漫画家は誰かといってまず思い浮かぶのはこの人しかいません。特に日本では『風の谷のナウシカ』の宮崎駿とか『AKIRA』の大友克洋とか、もしメビウスが存在していなかったらどんな画風で作品を描いたのか…
そのキャリアの終盤に作られた『レモ/第一の挑戦』という傑作の存在にも関わらず、その作家性についてあまり語られることがないのがガイ・ハミルトンの奇特なところではないでしょうか。純粋娯楽映画に作家の刻印などは邪魔でしかありませんので、むしろ匿…
天才漫画家といってまず一番最初に僕の頭に浮かぶのは高野文子さんです。寡作ながらも作品毎にピカソのようにガラっと絵のスタイルを変えて脱構築的に進化する天才的に絵の上手いカリスマ漫画家さんです。 1979年の商業誌デビュー以来、以下の漫画作品が出版…
好きな漫画家さんシリーズで津野裕子さんについて書いてみます。 津野さんは1986年に雑誌『ガロ』でデビューしてその後も主に『ガロ』で短編作品を中心に発表されてきた知る人ぞ知る天才漫画家さんです(青林堂の長井勝一さんをして「十年に一度の天才」と言…
果たして日本にティム・バートンやデヴィッド・リンチのような天才・異才はいるのかと考えてみますと、僕はまず映画監督ではなく漫画家の望月ミネタロウさんのことを頭に思い浮かべます。というのも望月さんは非常に映画的なモンタージュされたコマ割やカメ…
「黙示録三部作」の三作目と言われている『マウス・オブ・マッドネス(1994) 』について書きます。ホークスの西部劇三部作同様、パラダイムと同じ話を換骨奪胎した物語とも言えます。 閉鎖された教会の地下室は閉鎖されたホラー作家の描く街に、 闇のプリンス様…
「黙示録三部作」の二作目と言われている『パラダイム(1987) 』について書きます。ホークスの西部劇三部作同様、物体Xと同じ話を換骨奪胎した物語とも言えます。 閉鎖された南極の空間は閉鎖された教会の地下室に、 宇宙人は闇のプリンス様である悪魔に(こ…
1982年のターニングポイント どうみてもコメディなのにたいして笑えないタランティーノの『ヘイトフル・エイト(2015)』の話はどうでもいいとして、その元ネタであるジョン・カーペンター(以下ジョンカペと記す)監督の傑作『遊星からの物体X(1982)』に…
過激な音楽映画というと皆さんはどのような映画を思い浮かべるでしょうか。 アレックス・コックスの『レポマン(1984)』や『シド・アンド・ナンシー(1986)』のようなパンクな映画、アラン・パーカーの『ピンクフロイド ザ・ウォール(1982)』のようなMTVっぽい…
大野雄二さんの仕事で驚かされるのはその音楽自体の素晴らしさもさることながらその仕事量の多さです。 特に70年代後半から80年前半にかけての映画、テレビ、歌謡曲、CMと多岐にわたる活躍はその全貌を誰も把握することが不可能だと思えるほど膨大です(果た…
とにかく話が奇想天外で荒唐無稽でナンセンスなルパン三世TV第2シリーズですが、中でも山崎忠昭、大和屋竺、宮田雪、浦沢義雄といった日活映画や鈴木清順に関連していた脚本家の作品は今みても予想の斜め上をいく面白さがあります。いかにモンキー・パンチ先…
1.『三協映画』~ 魔のトライアングル 三協映画とは何か。それは三つの異なる世界が交差する魔のトライアングルです。 まず一つ目は梶原一騎に代表される漫画・劇画の世界です。 『巨人の星』や『あしたのジョー』に代表されるスポ根漫画の原作者として知…
前世紀においては『呪われた作家』とも称されていたジャッ ク・リヴェットでありますが、 21世紀の今日においてこそ、その先進性と孤高の独創性が評価されるべき早すぎた『来るべき作家』と称される存在でしょう。 例えば1974年に製作された『セリーヌとジュ…
ー 前口上 ー なぜ人は映画のすべてを記憶することができないのか。 いくらスクリーンを凝視していても、見ているそばから網膜に映る映像は過去へと消え去ってしまう。 そもそも果たして自分は本当に映画を見ていたといえるのか?。 (本当に寝ている時もあ…