顕在化する”『銀河鉄道999』寿命格差問題” 〜 <今そこにある未来ニュース①>

(今回はまとめニュース風で)

銀河鉄道999(1979年)』は当時の一流職人スタッフが集結したジュブナイル物としては日本アニメ映画史上最大の金字塔ともいえる昭和の名作ですが、意外にもこの映画に描かれるテーマの一部分は極めて今日的な社会問題を取り扱っています。それは「限りある命をいかに生きるか」という普遍的ともいえるテーマの背景にひっそりと設定されていた「寿命を巡る格差社会という非常に現実的な問題です。

この映画の主人公、星野鉄郎アンドロメダ星雲にあるという機械の体をタダでくれる星に行くことを夢見る地下スラム街に住む貧しい少年です。対して地上高層ビルに住む富裕層、あるいは機械化伯爵に代表される貴族達は機械の体によって永遠の命を謳歌して限りある命である人間を狩って剥製にして楽しむ特権階級です(凄いなこの設定)。

この『メトロポリス(1927年)』的ともいえる単純に二極化された社会構造(あれは資本家と労働者階級でしたけど)の中で少年は謎の美女の誘いにホイホイと乗って冒険の旅に出る訳ですが、その話はひとまず置いといて、どうもそうした永遠の命の萌芽となり得る寿命の伸長や遺伝子操作による寿命の若返り効果に関しての研究が、ここ数年のニュースで顕在化しつつあるというのが今回のお話であります。

え、そんなのSTAPみたいなインチキ話じゃないの?と思われる方も多いかもしれませんがちょっとググってみてください。どうも世界はそっちの方向に進んでいるというのが分かるその手の記事がわんさかと出始めてきてますよ。


president.jp

wired.jp

news.mynavi.jp

eadlines.yahoo.co.jp

www.excite.co.jp


中には怪しげなものも混ざってますが、ちゃんとした一流大学や企業の研究機関が豊富な資金を使って研究を進めているみたいですね。で、そういう研究の成果を一番最初に受けるのは当然そこに莫大な投資をしてきた一部の富裕層ということになります。そして研究がさらにどんどん進んじゃうと悲しいことに貧富の差による寿命格差もどんどんと広まってしまう訳です。というか現実的にはもう既に広まってしまっているのです。


www.cnn.co.jp

gigazine.net


で、さらにそういう寿命の格差若返りが進行してしまうとメーテルみたいな年齢不詳謎の美女が増える...かどうかはさておき、僕たちたちの住む社会は確実に変化していきます。

つまり既存の宗教哲学文学の価値観は大幅な軌道修正が余儀無くされ、結婚制度から年金制度に至るあらゆる社会制度が立ち行かなくなるようなパラダイムシフトが起こります。そして既得権益を守りたい人とそうでない人との間で権力闘争が起き、その勝者である一部の特権階級が技術を独占して社会を支配するというB級SF映画のようなディストピア的な管理社会が生まれます。そうなると僕たちは鉄郎のように地下のスラム街で富裕層の持つ999のパス(永遠の命)を夢見る下級市民として生き長らえるしかないのかもしれません。

なーんて与太話はともかくとして、僕は将来は病気や老いや死の概念がゆるやかに消滅して寿命が400年くらいに定められたユートピア的な社会機構に向けて人類は少しずつ進化していくのではと期待しています(実現しても来世紀以降?ちょっと間に合いませんね)。

さて、謎の美女の誘いにホイホイと乗ってしまった鉄郎は999アンドロメダ星雲の中心を目指しますが、現在そこには超大質量ブラックホールがあるといわれています。ブラックホールに吸い込まれるとどうなるかという事に関しては諸説ありますが、最新の説によると事象の地平面2次元ホログラフィック情報として幻影のように永遠に張り付いているように観測されるらしいですよ。鉄郎はもともと2次元なので特に問題は無いでしょうけど、それだと機械の体=ネジにされて惑星プロメテウスで永遠の命を得るのと大して変わらないという夢も希望も無い話になってしまいますね。