2022年映画ベスト10

【第1位】『ジョン・フォード論 』(2022年)

「パリのシネマテークがまだシャイヨー宮にあったころ…」といきなり始まった2022年7月23日シネマヴェーラで行われた蓮實重彦氏のトークショーは、『プリースト判事』(1934)を見に行ったら席の隣に犬が座ってて、なんだろうと思って横を見たらストローブ=ユイレの飼犬で、一緒に見てたら皆が笑うシーンで彼(犬)も笑っててフォード見るとこんな親しい犬と出会えるのだなと感動、そして数週間後ロッテルダム映画祭に行ったら彼(犬)がいてIDカード付けて歩いてたという爆笑トークから始まり、別室トークにより本題の「何故私が執念深い敵討ちを専門とする男になったか」を挟んで、最後にまた直接挨拶を挟む3部構成のトークショーであった。この最後の挨拶が何ともフォード的な友情と継承の感動的なエピソードであったため、ここに記しておきたい。

わたくしが昨日発売されました『ジョン・フォード論 』を書き終えた時に最初の読者として想像していたのは青山真治監督なんです。

彼としばしばメールをやりとりをして、こんな事がある、こんな事があるというようなお話しをしていました。

で、ところがこの書物が刊行される前に青山真治は亡くなってしまいました。

残念無念な事と言わざるを得ません。

で、その時わたくしが青山真治に「この本の表紙はこれにしたいよ」と言ったイメージが存在しております。

それは事によったら皆様方が既にお求めくださったかもしれない『ジョン・フォード論 』の第1ページ目、ページをめくる以前のこの写真なんです。

えーこれは見開きのところにある写真なんですけれども、これを見せて実はわたくしは「『ジョン・フォード論 』の表紙をこれにしたい」と言ったら彼は大層興奮してくれまして、「それならいい」とわたくしに言ってくれまして、ですから天国にいる青山真治は、わたくしの『ジョン・フォード論 』を、このような表紙のものと彼は受け止めてくれていた訳です。

で、残念ながらこれはピントが非常に甘いもので、表紙にはどうしても使われない、できないという事でこれを表紙にすることを諦めざるを得なかったんですけれども、皆様方がわたくしの本を手に取ってくださり、そして、ページに移る以前の表紙を開いたところのこの写真をご覧になったら、「青山真治、蓮實は出してくれたぞ」とそのように密かに呟き、青山真治の作品を決して過去のものと思わず、未来のものとして、現在のものとして、フォードと同じような種類の作品として見て頂きたいと思っております。

それでは今日の話、大変雑なものでございましたけどこれで終わりにさせて頂きたいと思います。


【第2位】は全く2022年じゃないけどリヴェット初公開の3作品。好きなんだよねぇ、リヴェット。特に爆音上映でも無いのにバイクや電車や波や鳥などの環境音がノイジーに響き渡り、リアルタイムに演奏される劇伴が錬金術のような効果を錬成したりと俳優の自由度含めて21世紀に相応しい映画体験でした。

ということで、2位以下はTwitterより当時の感想を。

【第2位】『デュエル』(1976)

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【第2位】『ノロワ』(1976)

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【第2位】『メリー・ゴー・ラウンド』(1981)

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【第5位】『フェアリーテイル』(2022)

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【第6位】『クライ・マッチョ』(2021)

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【第7位】『アネット』(2021) 

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【第8位】『MEMORIA メモリア』(2021) 

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【第9位】『アンネ・フランクと旅する日記』(2021) 

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【第10位】『リコリス・リコイル』(2022) 

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以上2022年映画ベスト10でした。