1930年代

『フリッツ・ラング』鏡の国の冥界の秘密(米時代全検証レビュー)

映画監督に著作権は無くともその刻印は存在します。フリッツ・ラングにおける鏡はこれ見よがしに演出されるのではなく、さもそこに在る事が当然のような正確さで実務的に対象を反射しています。それはアクション、サスペンス、ロマンスといったジャンルを問…

小津安二郎のサイレント時代全レビュー ~萌えモダニズムと見返り美人の韻画リズム~

小津安二郎のサイレント時代 1927年デビューから1936年までに小津は35本のサイレント映画(音響版を含む)を撮っていますが、その内現存するものが残念な事に約半分の17本。同時期の山中貞雄に比べればマシな方だという事もできますが、これはやはり残念とし…

『キングコング(1933年)』 ~ 彼について私が知っている二、三の事柄

いよいよ実写版『美女と野獣』が公開されますが、『美女と野獣』以上に美女と野獣をことさら言及する映画、それが1933年版『キングコング』です。しかしこの映画は映画内で一体何回美女と野獣を言及しているのでしょうか?暇な人は数えてみてください(なん…

『キングコング(1933年)』 カール・デナムとは一体何者なのか? ” 華麗なるヒコーキ野郎”と”カメラを持った男”の物語

今回のスピンオフの話はさておいて、1933年のオリジナル版キングコングを見返すとこれが今みても大層生々しいタッチ、かつ暴力的(象のように人を踏み、虎かはたまた進撃の巨人みたいに人を食らいます)で矢鱈滅多らと面白い事に驚かされます。 なぜこんなに…

『祇園の姉妹/Sisters of the Gion(1936年)』〜溝口健二監督の女性ハードボイルド・和風ノワール映画

フィルム・ノワール及びハードボイルド映画というと1941年の『マルタの鷹』を起源とすることが多いようですが、それに遡る事5年前の昭和11年の日本において女性を主人公としたハードボイルド映画が存在していたことをご存知でしょうか?。それが今回ご紹介す…