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『キラー・エリート (1975年)』 ~ ニンジャと日本刀と拳銃、殺し屋エリートNo.1は誰だ!サム・ペキンパーの裏切りの映画

映画 1970年代 アメリカ映画

(※ジェイソン・ステイサムの方ではございません。念のため)

DVDが廃盤になっているせいか中古がぼったくり価格になっている本作ですが、今月シネフィル・イマジカで放送されていたようです(PG指定を得るためにカットされた116分の劇場公開版ではなく123分のディレクターズ・カット版)。今日の放送以降だと短縮吹替え版なので今後も放送されるかわかりませんが、これ一本で元が取れると思いますので興味のある方はチェックしてみてください。というか早く邦版のBlu-Rayを出して欲しいですね。

さて作品の方ですが、シリアスな『ガルシアの首(1974年)』 と『戦争のはらわた(1977年)』に挟まれて賛否両論というか、一方では最低のおバカ映画と罵られ、一方ではシネフィルによって熱烈に擁護されるという、ちょっとカルトな扱いをされている作品です。

というのも物議をかもすのが敵の暗殺集団が ”ニンジャ軍団”でありまして、これがペキンパー流の凄まじいアクションを見せてくれるのかと思いきや、全くそんなことは無くて例のスローモーションでやられるだけという非常にトホホな扱いなのです。

と言う事で『燃えよドラゴン(1973年)』 的な普通の王道アクション映画を期待される方には非常に期待を裏切る映画になるかと思われますのでその点はご注意ください。

さて裏切るというと冒頭から主役のジェームズ・カーンは相棒で親友のロバート・デュバルに裏切られ、いつもだと敵のやられ役に適用される例のスローモーション(これは一体何がルーツなんでしょうね。まさか『七人の侍』?)を自分が浴びてしまい、身体障害者として入院生活及びリハビリ生活を強いられてしまいます。しかも手術シーンだのギブス取り付けシーンだの抜糸シーンだのギブス取り外しシーンだのを至極丁寧に描写(しかも腕と脚の両方)している時点で、もうこの映画は普通のアクション映画では無いと諦めがつくというものです。

とにかくマゾヒステックにギブスやら松葉杖やらで不自由に拘束される不具者として足を引きずるジェームズ・カーンが主人公らしからぬかわいそうな扱いで描かれます。さらに言うとジェームズ・カーンはコムテグというCIA傘下のエリートサラリーマン殺し屋だったのですが、冒頭のケガにより、「お前の足はもう使いもんにならんからもう会社くんな」と上司の部長からリストラ宣言されてしまいます。

ちなみにこの部長は株かなんかの仕事がメインのホワイトカラーで金儲けしか興味ないような上司でして、中盤で敵からも味方からも金をもらっている事が分かる二重裏切者なんですけど、そんな上司のパワハラなんておかまいなしにジェームス・カーンは不屈の闘志と復讐心でリハビリに励むとういうのが序盤のストーリーです(だいたいここまでで40分近くも尺を費やしています)。

さらにこのリハビリしている最中に町の中国人からカラテというか太極拳みたいな事を習っていたので、これは後半のアクションシーンの重要な伏線なんだなとか普通に考えるとこれもほぼ裏切られる展開となります。

さてリハビリが効を奏したのか普通に歩けるようになったジェームズ・カーンに東洋の独裁国家の政治家(マコ岩松)の要人警護の仕事が入ります。これでようやく看護婦のヒモ生活から抜け出して社会復帰です。しかもその要人を狙う敵には自分を裏切った親友のロバート・デュバルがいるというではありませんか。

ということでがぜん復讐に燃えてやる気を出したジェームズ・カーンがメンバーを集めてこれから活躍してくれるのか、と思ったらこれもあっさり裏切られてしまうのですが、これ以上は単なるあらすじ紹介になってしまいますのでやめます。

あの爆弾はどこから湧いてきたのかとか、あの軍艦には一体何の意味があるのかとか(『ダーティ・ハリー2(1973年)』?)ツッコミどころはいろいろあるのですが、これはサム・ペキンパー不条理なツンデレ演出だと諦めて裏切られ続けるしかありません。 まぁ百聞は一見に如かずの映画でございますのでBS/CS放送やレンタルとかで見れる機会があればおすすめしておきます。

スタッフは音楽に常連のジェリー・フィールディング、撮影は『ザ・ドライバー (1978年)』や『ハメット (1982年)』のフィリップ・ラスロップ、 あと編集の一人にモンテ・ヘルマン(!)がクレジットされています。

 

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