『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2016年)』 ~ ティム・バートンの奇妙な落書きたち

ティム・バートンの世界」のデッサン

2014年の11月1日から2015年1月4日まで行われていた「ティム・バートンの世界」展。当方はマヌケなことにちゃんと日程をチェックしておらず、ノコノコと最終日に出かけてしまったのですが、そのあまりの人の多さに驚嘆してしまいました(チケット買うのに数時間、入場で数時間待たされるはめに)。日本のティム・バートン人気はマニアックなオタク層以外にもポップ・カルチャーを担う普通の一般層にも浸透しているのだとなぁ、とまざまざと実感させられた次第です。

で、その肝心の展覧会の中身ですが、これは何時間も並んで待った甲斐のある素晴らしいものでした。中でも特に驚いたのはこの人は映画監督である前に本当に絵が好きなアーティストなんだなと言う事が分かった点です。というのもとにかく頭に浮かんだものをそこらへんのカフェにありそうなナプキンやコースターや紙切れに即興的に描いたのであろう大量のデッサンが展示されていたかからです。おそらく常に自動筆記的に頭に浮かんだアイデアを書き留めると言う事を習慣的に行っているのでしょう。ですので僕たちが映画の中で見るバートン映画のビジュアルはその大量のデッサンの中から生まれたほんの一部分であろうと言う事が容易に想像できます。

原作「ハヤブサが守る家」の本物の古写真

さてバートンの待望の新作『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』は ランサム・リグズの「ハヤブサが守る家」が原作です。バートンは原作モノよりオリジナルの方が面白いという奇特な映画作家ですが、これは非常に原作と相性がよかったのか、かなり成功している部類かと思います。

というのもこの原作自体がちょっと変わっていて、挿絵代わりに使用されている本物の怪しい古写真に著者のリグズがインスパイアされて創作されている小説だからです。以下がその古写真です。いかにもバートンの世界とあい通じそうなスプーキーでレトロでちょっとホラーな写真ですね。 

<宙に浮く少女>

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<石を持ち上げる怪力の少女>

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<透明人間>

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 <謎の双子>

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<以下は原作のリグズとバートン>

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ティム・バートンの奇妙な落書きたち

そして以下がバートンがメモ帳に書いたキャラのデッサンです(写真は#StayPeculiar hashtag on Twitterより)。

かなり走り書きのデッサンですが映画のイメージそのもので、バートンの頭の中には明確なビジョンがあってそれを映画の出発点として最初から示していると言う事が分かります。

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『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

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さて映画に関して細かい言及は避けますが、この映画はジェームス・ホエールによるユニバーサル・ホラーの古典『透明人間(1933年)』から、ハマー・フィルム的古城、レイ・ハリーハウゼンからブラザース・クエイのストップ・モーションアニメに至るまでバートン趣味のオマージュが炸裂しているジュブナイルSFになっております。個性的な奇妙な子供達は伏線として機能しており、その活躍も楽しいです(双子は例外ですが伏線が無いのが伏線です)。

ということで待望のティム・バートンの新作ですが結論だけ申しますと大変素晴らしい出来ですのでまだ見ておられない方はすぐさま劇場に駆けつけてその美しさと恐ろしさと奇妙さを童心に戻って楽しんで頂ければと思います。 

では最後に「ティム・バートンの世界」展によせらられていた彼のメッセージを引用しておきます。このメッセーッジの中の美術館映画館、ひいてはティム・バートンの映画そのものと言えるのではないでしょうか。

私が育ったカリフォルニア州のバーバングは美術とは縁遠い場所でした。子供の頃はハリウッドの蝋人形館に行ったくらいで、初めて美術館に行ったのは10代になってからです。その代わり怪獣映画やテレビを見たり、頭に浮かんだものを何でも描いたたり、近所の墓地で遊んだりして過ごしました。のちに美術館に行くようになってあまりに墓地と感じがあまりに似ていて驚きました。どちらも静かで、自分と向き合えて、それでいて身体に電気が走るような雰囲気があります。謎、発見、生と死、- 全てが一か所に集まっているのです。 

 

<おまけ:クエイ風モーションキャプチャ人形を手にご満悦なティム・バートン

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